英雄
人は英雄にあこがれるのだと、聞いた。
そして人が英雄と接したとき、その行動は限られている、とも聞いた。
崇拝し、慕う。
拒絶し、憎む。
英雄という巨大な存在を人は認識せずにはいられないのだと、そう聞いた。
また、英雄と会うのは僥倖であり不幸だと聞いた。
英雄にであったら最後、その者のために尽くす、か
嫉妬で胸を焦がさなければならない
のだという。
なるほど。平凡を望むものに英雄は毒だ。日常の破壊者だ。
ただ、その行動がたまらなく芳しく、英雄に魅せられた人はその人への奉仕を喜びを感じる。
英雄とは、なんたる存在だろう。
こんな存在が身近にいては、自己保身ができない。安寧を忘れてしまう。
嫉妬するのも尽くすのも、ごめんだ。
そう思う人は多いだろう。
私もそう思う。
だがその一方で英雄にあこがれるのも確かだ。
稀代の英雄とまではいわない、歴代の英雄たちに連なる人物に遭遇し、歴史の変革を味わえるならば何でもしよう。そう思ってしまうのだから恐ろしい。
英雄は麻薬だ。
その存在を知ったものは、もう知らなかったことには戻れない。
歴史を紐解くと英雄の影に移す、彼に尽くした人物が多くいる。
苦難を差さえ栄光を差し上げた。
人は本を読むとき「なぜそこまで尽くす?」と疑問に思った。
それは英雄に惑わされていたのだ。
そしてそのものは、わかっていながら英雄に惑わされたのだ。
2008年10月 1日|
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